どんな論文でも合格させてしまうハゲタカたち
ハゲタカジャーナルとかハゲタカ学会なるものが問題になっているようです。より堅い言い方をすると、粗悪雑誌・粗悪学会となります。

これらのハゲタカたちは、数万円の投稿代や参加費さえ払ってもらえれば、後は研究内容審査もせずに「合格」させていて、これが批判されているようです。

アカデミック外の人からしてみれば、「高い金をハゲタカに貢いでまで雑誌や学会に研究成果を出す意味はあるのか?」と感じるのではないでしょうか。

今回は大学事情に触れながら、一般向けにハゲタカ問題についてお話ししたいと思います。




ハゲタカといわれても、必要とされているから存在する
批判されようが何だろうが、需要があるからこそハゲタカビジネスが成り立ちます。では、どのような需要があるのでしょうか?

1.どうしても「成果」が欲しい
常識的に考えたとき研究成果とは、何か有用で社会の役に立つもののことを指しそうです。ところが、アカデミック界で成果というと、研究発表や論文掲載のことをいいます。

まともな学会であれば、程度が低い研究は発表させてもらえませんし、雑誌にも掲載してくれません。だからこそ、発表や掲載論文は評価されるのです。

ただし、みんながみんなレベルの高い研究をできるとは限りません。どれだけ努力をしてもいい研究ができない人もいるのです。

そういう研究者であっても成果は欲しいですから、審査をまともにすることなく合格を出してくれるハゲタカさんにお金を払ってしまいます。

2.成果がないと研究できない
かつては基礎的研究費と呼ばれる予算がたくさんありました。基礎的研究費とは、全員に対して無条件に支給される研究費のことを言います。なので、かつては研究費の獲得に困ることはあまりありませんでした。

ところが、近年は「成果の見込めないところには研究費をださない」という方針に変わったため、実績がない研究者は予算を付けてもらえなくなってしまいました。(ちなみに、選抜をして優秀な人にだけ支給される研究費のことを、競争的資金といいます。)

そうすると、「成果がない→研究費がない→成果がない」のループにはまってしまいます。こうなってはどうしようもないので、ハゲタカさんにお金を払って、成果を買う必要が出てくるのです。

3.成果がないと就職できない
これもまた近年深刻になっているポスドク・オーバードクター問題と関係しますが、成果が上がっていない人は正規雇用のポジションを得られなくなりました。就活では、研究成果を厳しくみられる時代になったのです。

若手の研究者は本来、長期的な視点から腰を据えて研究に励むべきですが、自分の将来がかかっているので悠長なことを言っていられません。これまた、ハゲタカさんにお金を出して成果を作らなければなりません。

ハゲタカ対策は、しっかりと成果をチェックすること
以上の3つの理由があって、コストはかかるけれどもハゲタカも必要とされています。ハゲタカ批判をしても、需要がある以上はなくなることはないでしょう。

このことの根本原因は、「研究の中身を見られないこと」にあります。研究費の配分にしても就活にしても、表面的に論文があることだけをチェックして、中身を読まないのが良くないのです。

粗悪なハゲタカを駆逐するためには、アカデミック界にいるわれわれが成果についてしっかりと考える必要があるのだと身に染みて反省するところです。