2024年、待望の新滑走路オープン
前回から引き続き、インバウンドで活況を呈する福岡空港の動向を探っていきます。今回は、2024年度に開業予定の新滑走路でどのように発展していくのか予想します。
新滑走路はやや距離が短いのがネック
福岡空港では2024年度の完成に向けて、新滑走路の建設工事が進められています。現在の滑走路の隣に、作られています。
新滑走路は長さ2,500メートルですので、中型機までなら問題なく発着できます。大型機(B777など)は国内線であれば大丈夫かと思いますが、燃料を積み込む長距離線には使えなさそうです。
今のところ、福岡空港からの長距離便は中型機(A330)によるヘルシンキ線のみなので問題はありませんが、九州の基幹空港として発展していくならば、将来的にはネックになるかもしれません。
新滑走路の活用には、飛行経路の見直しが不可欠
前回の記事で、福岡空港は容量オーバーであると書きましたが、新滑走路の開業後もこの状況はあまり緩和されそうにありません。安定的に発着できる回数は、現在の年16.5万回から18.8万回へと14%増えるのみです。これは、滑走路同士が近い「クロースパラレル」なので同時利用ができないこと、そして、空港周辺の空域が狭いことが原因です。
これでは滑走路への投資効果が小さすぎるということで出てきたのが、上の案です。北風時に空港の手前で急旋回するのではなく、大きく回り込む経路です。

福岡空港は市街地のど真ん中にあり、騒音が問題になっています。なので、これまでは極力陸上を飛ばないようにしていたのですが、新案では福岡県・佐賀県の上空をかなり飛ぶことになりそうです。
ただ、この飛行経路を採用すれば、発着回数は23.5万回にまで増やすことができます。成田空港が25万回・関西空港が18万回といったところなので、需要さえついてくれば、東京や大阪の主要空港に並び立つことができます。
就航都市はアジアが中心になると思いますが、オランダのアムステルダムへの就航実績もありますので、ヨーロッパへの長距離便も期待できます。アメリカ方面へは東京乗継でも距離的なロスはありませんので、就航の可能性は低いとみられます。(これは、関空やセントレアも同じで、ヨーロッパに比べてアメリカ路線は少ない)
とはいえ、アジアの成長を取り込みつつ路線を拡大していけば、新たな「西の拠点」としての存在感を発揮することができそうです。