鉄道激戦区の関西
京阪神は鉄道会社の競争が激しい地域として有名です。大阪-京都はJR・阪急・京阪、大阪-神戸はJR・阪急・阪神とそれぞれ3路線が並行して走っています。(ただし、阪急と阪神は同一企業による運営)各社とも乗客をライバルにとられないようにするため、運賃を工夫しています。京阪間での鉄道競争に着目し、経済的な効果を考えます。
JR v.s. 阪急 v.s. 京阪
まず、大阪-京都間の鉄道路線を確認しましょう。JRと阪急は、淀川の右岸をほぼ同じ経路で走っています。京阪は京都と大阪を結ぶのは他社と同じですが、途中の経路は淀川の左岸です。
この位置関係が、各社の運賃に現れてきます。
競争を意識した京阪の運賃表
京阪の運賃表を見て分かることは、近距離は高く、長距離が安いということです。17キロで310円まで運賃が上がりますが、そこからは54キロまで乗っても420円にしかなりません。
「競争があるところは安く、ないところは高く」が基本ですが、まさにそうなっています。大阪-京都間はライバルがいるので安くしなければなりません。京橋-七条が44.0キロですが、40~50キロ程度を乗車する客からは、400円ほどしか徴収していません。
これに対して、路線の中ほどにある寝屋川市や枚方市には、京阪しか走っていません。(JR学研都市線はかなり外れを通っている。)なので、乗車距離が20キロ程度でも300円超の料金設定になっています。
関西で一番安い阪急電車
阪急は、神戸線も含めてほぼJRと並走しているため、全区間で割安な運賃設定になっています。
例えば10キロ乗車するとき、京阪であれば270円のところ阪急は220円です。20キロで比較しても京阪の330円に対して280円です。このように、中短距離でも安価な運賃になっています。
ちなみに、競合する大阪市内-京都市内は京阪・阪急とも400円で同額です。
JRは割引運賃で対抗
JR西日本は運行線区が多いため、基本となる運賃テーブルとは別に、競争区間には特定運賃を設定しています。大阪-京都は42.8キロなので、基本の運賃は760円です。しかし、このままでは競合の400円と比べてあまりにも高すぎるので、特定運賃として560円としています。さらに、これでも割高感があるため昼特きっぷを発売し、1回あたり350円で乗車できるようにしています。(平日は10-17時・土休日は終日利用可)
当たり前だけれども、競争でモノは安くなる
このように、競争の経済的な効果として、価格が低下するということが確認できました。もちろん鉄道以外であっても、競争があれば価格は下がります。いろいろな事例を見つけてみるのも、おもしろいと思います。