よつき経済研究所

航空産業を専門に研究している経済学者の森本裕です。神戸にある甲南大学で教員をしています。このブログは火曜日と金曜日に更新しており、火曜日は「旅行に役立つ航空」について、金曜日は「経済学で身につける思考の技術」について記事を投稿します。また、大学教員ならではということで、今どきの学生気質や大学の裏事情についても不定期で発信します。

経済学に関心がある方は、ホームページ(https://yotsuki-compass.com/)にもお越しください。ツイッター(https://twitter.com/yotsuki_compass)でも最新ニュースに経済分析を加えています。

航空券

サーチャージ引き下げで本当に安くなる?
原油価格の下落に合わせて、主要航空会社の燃油サーチャージも引き下げられました。

例えば、ANAとJALの欧米行きでは片道35,000円だったものが14,000円に改定されました。単純に考えて往復で21,000円安くなるはずですが、本当にそうなったのでしょうか?

航空会社は本体部分とサーチャージを一体的にとらえているフシがありますので、本体を値上げしている可能性も否定できません。

そこで、3月31日と4月1日の総額を比較してみました。




日系エアラインはしっかりと値下げ

比較対象は、大阪とニューヨークを往復する航空券です。往路を7月3日、復路を7月10日とし、前後3日間を含めて運賃総額のデータをとしました。

1枚目と2枚目の画像はそれぞれ、3月31日と4月1日に検索をして得られた運賃です。
3月31日
無題
これらを見比べてみると、ほとんどの日程で確かに21,000円安くなっています。実際、最安値で見ても147,160円から126,160円に下がっています。

海外の航空会社は実質値上げしていた

このように、日系のエアラインは信頼することができますので、サーチャージの引き下げを待ってから航空券を予約するとおトクになると言えます。

ところが、海外系を利用するときは注意が必要です。Cathay PacificやEmiratesといった海外の航空会社を調べてみたところ、サーチャージ減額を宣言していたにもかかわらず運賃総額はあまり下がっていませんでした。

カラクリを見ると、最も割安な予約クラス(Saverなど)を売り切れにして、高めのクラス(Flexなど)からしか買えないようにしているようです。同じ予約クラスで見ると値上げにはなっていませんでしたが、不誠実な印象を受けます。


エアチャイナで北京経由の旅行がおすすめ
エアチャイナ(中国国際航空)は北京をハブとする、中国のフラッグキャリアです。このエアチャイナの東南アジア行きが非常にお得なので紹介します。

まず、エアチャイナの概要からですが、日本には札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の7都市に就航しています。中国では「国航」と呼ばれており、由緒正しい航空会社です。ロゴは不死鳥である鳳凰をモチーフとしています。

北京からは世界各国へネットワークが張り巡らされていますが、東南アジア方面ではシンガポール・ジャカルタ・バンコク・バリ・ホーチミン・マニラ・ヤンゴンと主要都市への便があります。
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北京まででもシンガポールまで行っても、運賃はほとんど同じ
さて、「乗り継ぎがおトク」とタイトルに書きましたが、どの程度お得なのでしょうか?まずはエコノミークラスから見てみましょう。
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6月2~8日に関空を出発して、9~15日に帰路につくスケジュールの運賃です。北京行き(上)は最安38,050円で、シンガポール行き(下)は同45,350円です。

大阪-北京は1,800km、北京-シンガポールは4,500kmであることを考えると、乗り継ぎ運賃の安さが際立ちます。

ちなみに、シンガポール航空の直行便の価格はこのようになっています。
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最安は48,130円なので、エアチャイナの方が安いことが分かります。

ビジネスはおトク度がマシマシ
続いてビジネスクラスを見てみましょう。
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北京までだと最安値は136,500円のところ、シンガポールなら106,450円です。なんと、たくさん乗ったほうが安くなっています!

これはかなり驚きであるとともに、とてもおトクだと言えるのではないでしょうか?しかも、エアチャイナのビジネスクラスはシンガポール航空よりもかなり安価です。
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シンガポール航空は208,130円~ですので、エアチャイナはおよそ半額です。

ビジネスクラスは本当におトク
このように、エアチャイナを乗り継ぎ利用して東南アジアへ向かうのは非常におトクだと言えるでしょう。もちろん、乗り継ぎがある分だけ所要時間は長くなります。

とはいえ、乗り継ぎ時間を利用して北京観光をしたい人や、マイレージを集めている人にとっては、直行便でないことはかえってメリットになりうるかもしれません。

なお、エアチャイナのビジネスは格安ですが、座席やサービスが悪いといったことは特にありません。むしろ、短距離便であっても、一品ずつ持ってきてくれるなど(ANAのようなプレートタイプではない)良心的な部類です。当然、座席もフルフラットです。

遠くに行く方が安い?
普通、乗り物に乗ると遠くに行くほど運賃は高くなるはずです。ところが、飛行機の場合は遠くに行った方がなぜか安くなることがあります。

今回は、この不思議な現象について紹介したいと思います。




調べてみたら、本当だった!
まずは、次の画像を見てください。
隠された都市
大阪からの運賃をフィンランド航空で検索したときの画面です。上段は大阪-ヘルシンキ間、下段は大阪-(ヘルシンキ経由)-マドリード間の運賃です。

常識的に考えて、マドリード行きの方がたくさん飛行機に乗っているわけですから、運賃が高くなるはずです。ところが、一部の日程ではそうなっていません。

例えば、5月31日に大阪を出発して、6月8日に現地を出る日程を見てみましょう。このケースではヘルシンキ行きの運賃は131,940円ですが、マドリード行きは121,600円でした。他にも、星が付いているところはマドリード行きの方が安くなっています。

まさに、遠くへ行った方が安いのです。頭のいい人は、これを応用して旅行代を安く済ませられると思ったのではありませんか?本当はヘルシンキまで行きたいのに、マドリードまでの航空券を買えば安くなると。

でも、この方法は運賃規約で禁止されています。これも航空業界の独自ルールで、使い始めた航空券を途中で放棄することはできません。新幹線であれば途中下車できるところ、飛行機では認められていないのです。

ですので、経由地点までしか飛行機に乗らなかったら最悪の場合、帰りの飛行機に搭乗拒否されてしまうかもしれません。

欧米方面では往復2万円以上の値下がり!!
ANAが2019年4月~5月発券分の燃油サーチャージを発表しました。
燃油
現在は欧米路線では片道あたり17,500円のところ、4月からは7,000円に引き下げられます。往復だと2万円以上の値下げですので、海外旅行に行く人にとっては非常に朗報です。

ちなみに、燃油サーチャージは搭乗日ではなく発券日を基準として課せられますので、4月以降の旅行であっても3月までにチケットを購入してしまうと割高になりますので要注意です。

さて、今回は非常に大きな値下げになりましたが、これからも燃油サーチャージは低い水準を維持できるのでしょうか?直近のデータを用いて見通してみましょう。




燃油サーチャージは、2か月間の平均ケロシン価格で決まる
はじめに燃油サーチャージの決まり方から確認しましょう。航空機の燃料をケロシンといいますが、その2か月間の平均価格でサーチャージの金額が算出されます。

たとえば、6月~7月分のサーチャージであれば、2月~3月の平均ケロシン価格で決まります。この期間の平均価格が1バレル7,500円であったならばテーブルCに該当しますので、欧米方面は片道7,000円となります。
燃油サーチャージのテーブル

次期はやや値上がりする見通し
ケロシン価格は商品先物会社の北辰物産のホームページで確認することができます。ここのデータを用いて2月19日までのケロシンの平均価格を計算すると、1バレル8645円でした。

このまま行くと次期のサーチャージは1ステージ上がってテーブルDに値上がりしそうです
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というのも、2018年12月~2019年1月は世界的な相場波乱があった時期で、原油価格も大幅に落ち込んでいました。昨年末にはケロシン価格もストンと落ちていて、ドル建てでは65ドル、およそ7000円にまで下がっていたのです。

原油価格は安定に向かっていますので、サーチャージの値上がりは避けられないのではないかと思います。とはいえ、テーブルDというのは長期的に見て「ほどよい」水準でもあります。

適宜情報を更新していきますので、またご覧いただければと思います。

原油価格は8か月ぶりの安値圏
11月26日、原油価格が8か月ぶりの安値をつけ、直近のピークからは30%ほど下落した。航空機の燃料は原油から生成されるケロシンなので、航空各社が設定している燃油サーチャージが下がることが期待される。

原油価格が引き続き安値であったとき、サーチャージがどの程度になるのかを試算してみた。



現在のサーチャージは片道14,000円(欧米路線の場合)
まず、燃油サーチャージの決まり方から確認しておこう。日系の航空会社は、シンガポール市場での円建てケロシン価格に応じて、サーチャージの額を定めている。
サーチャージ
エリアごとに額は異なるが、欧米路線の場合は上表のとおりである。今のところ、2019年1月31日までの発券であれば片道14,000円が運賃に加算されることになっている。

このところの原油安でも、サーチャージは1ステージ下がるだけ
下図はこのところのケロシン価格(ドル建て)のチャートであるが、10月ごろに100ドル弱まで上がった後は下落に転じている。11月26日の価格は76.89ドルであるが、これを円換算すると8,688円になる。
ケロシン
この金額をサーチャージ金額を定める表に適応すると、サーチャージは片道10,500円である。現行よりも1ステージ低いところになるのて、多少ではあるが原油安の恩恵を受けることができる。

ちなみに、2017年6月ころは60ドルを下回っているが、逆オイルショックの影響である。このころは燃油サーチャージが廃止になることが期待されたが、結局は最も安いステージ(片道3,500円)に下がるにとどまった。

本格的に航空運賃が下がるためには、さらに原油価格が安くなる必要がありそうだ。


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