新ダイヤのポイントは?
1月23日、ANAとJALが2019年夏ダイヤの運行計画を発表しました。新規路線の開設や増減便など、いろいろな変更点がありますが、重要なところをまとめました。路線が東京に偏りすぎており、インバウンドの取り込みに遅れを取っているなど、課題も見えてきました。今後改善すべき点についても指摘します。
ANAは東京中心が過ぎるダイヤ改正
ANAのダイヤ改正では、ホノルルへの超大型機A380投入が最大の目玉です。スカイマークを取り込む(結果的には取り込みに失敗したが)対価として押し付けられたA380を活用するため、日本人の定番旅行先であるハワイ路線に就航させます。ファーストクラスを提供することで富裕層を取り込むとともに、超大型によるコストカットを活かしてエコノミークラスをより手ごろな価格で販売します。また、ファースト・ビジネス・プレエコ・エコノミーの4クラス制とすることで、幅広い旅客をターゲットにすることができます。

国際線の新規路線として、成田からパース(オーストラリア)とチェンナイ(インド)に就航することで、国際線ネットワークを拡大します。
これらの路線に接続するため、成田-中部線を毎日2便から3便に増便します。国際線の座席を埋めるためには東京の需要では不足するため、中部圏から送客する必要があります。
国内線では、関空から札幌行きを毎日2便から4便に、宮古行きを毎日1便から2便にそれぞれ増便します。ただし、純粋な増便というよりも、機材調整のために減便していたものが元に戻っただけではあります。
なお、国内線の基幹空港である羽田・伊丹は発着枠の制限がありますので、これらの空港を発着する路線に大きな変更はありません。
JALは東京をメインとするも、関空にも力を入れる
JALは成田-シアトル線を開設するとともに、関空-ロンドン線にブリティッシュエアウェイズと共同事業で就航します。
共同事業とは、路線の収益と費用を両社で分担する方式のことをいいます。料金設定までもを共通化することで、あたかも1つの会社が運航しているかのような状況になります。
コードシェアが単なる座席の買取りであるのに対して、共同事業は収益とリスクをともに負担するという点に違いがあります。
機材の変更では、成田-バンクーバー・サンディエゴと関空-ロサンゼルスにSKY SUITEを投入します。これらの路線では、より快適に空の旅を楽しむことができるようになります。
国内線では、若干の増減便はあるものの、大きな変更はありません。
ANAはもっと「外を見る」べき
ANA・JALともに共通して、新機材を活用して路線を拡大します。ただし、その戦略には大きな違いがあり、ANAは東京路線に専念する一方、JALは関空線にも一応の力を入れています。急増するインバウンドに最人気の観光地が大阪・京都であることを考えると、ANAは訪日需要を逃しています。訪日客の大半はアジアからですので、東京経由で大阪に向かうのは距離的なロスが大きいため、ANAは利用しにくい航空会社と言えるでしょう。
日本人にとっても、アジアやヨーロッパに行くのに東京経由は大回りになりますので、やはりANAは不便な選択肢です。海外の航空会社を利用して、より効率的に移動することが好まれるのではないかと思います。
これに対して、JALは関空路線にも一定の配慮を見せており、訪日客の取り込みを意識したダイヤ改正になっています。
日本人の出国数は頭打ちになる中、訪日客の急増は目を見張るものがあります。今後、成長を続けていくためには、「外を意識した」路線展開が求められるものと考えられます。