よつき経済研究所

航空産業を専門に研究している経済学者の森本裕です。神戸にある甲南大学で教員をしています。このブログは火曜日と金曜日に更新しており、火曜日は「旅行に役立つ航空」について、金曜日は「経済学で身につける思考の技術」について記事を投稿します。また、大学教員ならではということで、今どきの学生気質や大学の裏事情についても不定期で発信します。

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都市経済

「影」の地方都市
都市の力は地価に反映されます。路線価から都市の現状を読み解くシリーズも最終回です。ここまで、北海道のリゾート・インバウンドであふれる関西・一極集中の東京と光の面を見てきました。

今回は最後に、影の面として衰退が止まらない地方都市に着目します。地方とはいっても広域の中心となる札幌・仙台・広島・福岡はミニ東京として人口が増えていますし、県庁所在地レベルでも衰退はゆっくりとしています。

本当にひどいのは人口が5万人もいない中小都市です。「市」ではあるけれども、鉄道も通らないような場所を取り上げます。

なお、路線価の対象となるのは一定以上の規模を有する都市のみですので、今回紹介する都市ですら、まだマシな状況であるということを書き加えておきます。


高知県四万十市 地方都市の中ではまだ恵まれているか?
四万十市は高知県の南東部にある人口35,000人の「市」です。かつては中村氏の城下町として栄え、区割りが碁盤になっていることから、小京都とも呼ばれています。しかし、人口の減少が止まらず、ピークからは15%ほど減っています。
tosashimizu
nakamura
中心部である市役所前の路線価の推移は、以下の通りです。
2013年 4.9万円
2014年 4.8万円
2015年 4.7万円
2016年 4.6万円
2017年 4.6万円
2018年 4.5万円(1平方メートルあたり)

前年比で2.2%マイナス、5年前比で8.2%マイナスとなっています。人口減少ということで、やはり地価は下落していますが、予想よりは下がっていませんでした。この後見る輪島市と比べると、まだ恵まれているという感想になります。

石川県輪島市 輪島塗があるも、衰退は止まらず
続いて石川県輪島市です。伝統工芸である輪島塗で有名ですが、金沢地裁の支部も置かれており、能登半島の中心でもある都市です。
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中心とはいえ人口は27,000人しかいません。人口減少も著しく、直近5年間では10%も減っています。街中もスカスカになっており、ザ・地方都市ともいえる様相を呈しています。
wajima
さて、輪島市の中心部である国道249号線沿いの地価ですが、
2013年 5.7万円
2014年 5.2万円
2015年 4.9万円
2016年 4.8万円
2017年 4.6万円
2018年 4.4万円(1平方メートルあたり)

と勢いよく下落しています。前年比で4.4%、5年前比で22.8%もの値下がりです。ここまで下がってしまうと、もはや資産ということもできなさそうです。

輪島市は鉄道も通っておらず、インバウンドの取り込みも難しそうです。せっかくの輪島塗を活かせないのがもったいないところです。金沢からバスで2時間強ですので、うまく誘客できれば賑わいを取り戻せるかもしれません。



日本一は銀座 1平方メートルで4432万円!
7月2日に公表された2018年度の路線価の動向を読み解く記事の第3弾です。今回は日本で最も地価が高いところに注目します。

その場所は東京銀座の鳩居堂前で、地価は1平方メートルあたりなんと4432万円もします。たった1メートル四方の土地が、一戸建てほどの価格とは驚きです。



銀座一帯が超高地価エリア
まずは、日本一土地が高い場所の写真を見ておきましょう。
ginza
ちょうどこの下に銀座駅が埋まっています。

路線価図を見ると、写真の手前から奥にかけての土地が44320Aとなっています。単位が1000円なので、この道路沿いの土地は4432万円/㎡ということを示しています。
ginza_chika
また、周辺の土地も軒並み1000万円を超えています。一体どのような使い方をすれば元を取れるのかと不思議でなりません。

地価は5年で2倍超に
鳩居堂前の地価の推移を5年分追ってみましょう。

2013年 2152万円
2014年 2360万円
2015年 2696万円
2016年 3200万円
2017年 4032万円
2018年 4432万円(1平方メートルあたり)

前年比で9.9%、5年前比で105.9%の上昇です。元が高かったにもかかわらず、さらに倍になったというのがすごいところです。

日銀の超金融緩和もあって、10年物国債の金利はゼロになってしまいました。投資先がなくなった銀行が融資を進めているわけですが、その資金が東京の土地にもかなり流入しているのは間違いありません。

来年以降、さらに上昇を続けていくのか、あるいはミニバブルも終焉を迎えるのか、今後の動向が気になるところです。



世界遺産と外国人
路線価でみる地価の第2弾ですが、今回は外国人に人気の関西エリアの動向を探ります。

関西には京都・奈良・姫路城・紀伊山地と世界遺産が密集しています。これらを目当てに外国人が押しかけ、玄関口となる関空と大阪ミナミは大いににぎわっています。地価上昇ランキングの常連にもなっているこれらのエリアを見ていきましょう!


京都の四条通は5年で2倍近くに上昇
まずは日本人にも人気の観光地、京都です。京都の中心部は、京都駅から3キロほど北にある四条通りの、烏丸~河原町の間です。
sijo
四条通は2014年に車道を片側1車線とし、歩道の拡幅を行いました。車道の渋滞が悪化するとの批判もありましたが、沿道への影響はどうだったでしょうか?

主要地点ということで、四条河原町交差点付近の地価を見てみましょう。

2013年 252万円
2014年 264万円
2015年 278万円
2016年 325万円
2017年 392万円
2018年 475万円 (1平方メートルあたり)

直近の上昇率は21.1%、5年上昇率は88.5%です。観光客の増加に合わせて、商店の収益性も向上しています。歩道の拡幅がなければ、これだけ多くの観光客を捌くことはできなかったでしょう。

白すぎる姫路城 入場者数は倍増
続いて、その外観が白いことから白鷺城とも呼ばれる姫路城で有名な姫路市を見てみましょう。
himeji2
姫路は姫路駅から姫路城まで一直線に主要道が伸びており、駅を降りればお城が観光客を出迎えてくれます。
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そんな姫路城を望める駅前の地価の推移は次の通りです。

2013年 68万円
2014年 70万円
2015年 74万円
2016年 77万円
2017年 84万円
2018年 96万円 (1平方メートルあたり)

姫路城は2015年に改装が終了し、きれいな姿に生まれ変わりました。それを受けて観光客数が286万人と改装前の2倍に膨れ上がりました。地価も順調に上昇しており、直近の上昇率は14.2%です。

観光客の玄関口 ミナミはキタを超えた
関西空港まで南海電車一本で行ける難波地区(ミナミ)は、宿泊場所や買い物場所として人気です。グリコの看板で有名な戎橋はインスタ映えも良く、いつも大勢の人が写真を撮っています。
shinsaibashi

この戎橋周辺の地価は、このようになっています。

2013年   440万円
2014年   458万円
2015年   510万円
2016年   712万円
2017年   968万円
2018年 1184万円 (1平方メートルあたり)

直近の上昇率は22.3%、5年間の上昇率は169.1%です。この急激な上昇もあって、公示地価ではキタの阪急百貨店前を追い抜いて、大阪トップになりました。大阪駅周辺は超高層ビルが林立するエリアですので、それを超えたというのは非常に驚くべきことです。

また、すぐ隣にある御堂筋沿いの地価は614万円ほどです。「裏道」の心斎橋筋が、目抜き通りである御堂筋の倍近い地価になっているのです。いかに心斎橋筋の収益力が高いかを物語っています。

次回は東京のミニバブル
ここまで、インバウンドの影響を強く受けた地点を調査してきましたが、次回は一極集中が進む東京です。こちらも、金融緩和のカネ余りを受けて、投機を巻き込みつつ地価が急騰しています。ミニバブルの現状を追っていきます。




最新の地価の動向は?
7月2日に平成30年度の路線価が公表されました。課税に利用するものなので、すべての道路に対して地価を算出しているのが特徴です。

全国平均で前年比0.7%上昇ですが、地価の上げ下げは地域によってマチマチです。以下のプランで地域ごとの動向を探っていきます。

1.雪を見たい!雪で遊びたい!北海道のスノーリゾート
2.世界遺産の宝庫。道を歩けば外国人の大阪・京都
3.一極集中が止まらない。東京都心部
4.衰退続く、地方都市


地価上昇率No.1 北海道ニセコ

地価上昇率で全国トップに輝いたのは、北海道倶知安町山田にある土地で、前年比で88%も上昇しています。
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ニセコマウンテンリゾートの真ん前で、スキー客のためのホテルやペンションが立ち並んでいる場所です。今や北海道のリゾート地は外国人であふれかえっています。中国の富裕層、雪が降らない東南アジア、夏冬が逆転するオーストラリアといったところから大勢訪れています。

地価の推移は、
2013年  46千円/平方メートル
2014年  50千円/平方メートル
2015年  64千円/平方メートル
2016年  96千円/平方メートル
2017年 170千円/平方メートル
2018年 320千円/平方メートル
となっており、5年間で約7倍に高騰しました。

なお、2018年の地価は実勢価格では坪150万円ほどに相当しますので、東京であれば杉並区といった山手線外縁部、関西であれば神戸・芦屋の高級住宅地の地価とほぼ同じです。

北海道の山間部が大都市に匹敵する地価になっていることに驚きを隠せません。

倶知安町中心部にも波及効果あり
倶知安町の中心とニセコマウンテンリゾートは車で10分ほど離れていますが、リゾートからの影響は中心部にも及んでいます。ホテルでの雇用増加や食品などの調達といった形で、町の経済を刺激しています。
kuchan
地方都市ということもあって決して栄えているわけではありません。しかし、写真にもあるように新たな建物の建設も始まっています。

駅前通りの地価も、2013年の18,000円から2018年には27,000円(ともに1平方メートルあたり)に50%も上昇しています。



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