よつき経済研究所

経済学者の森本裕です。専門は交通経済学と都市経済学です。神戸にある甲南大学で教員をしています。経済学のメインテーマである、価格=モノの値段についてコラムを書きます。また、大学教員ならではということで、今どきの学生気質や大学ついても不定期で発信します。

経済学に関心がある方は、ホームページ(https://yotsuki-compass.com/)にもお越しください。ツイッター(https://twitter.com/yotsuki_compass)でも最新ニュースに経済分析を加えています。

空港

三ノ宮直結の都市型空港
伊丹や関空と比べて影が薄い神戸空港ですが、使ってみると意外と便利です。「神戸空港の歩き方」と題して、利用のポイントをまとめてみました。

まず、神戸空港の場所から確認しましょう。
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神戸空港は神戸市の沖合いの人工島にあって、三宮からはポートライナーでアクセスできます。所要時間は17分で、都心部から乗り換えなしなので便利です。

また、新快速を使えば三宮までは大阪から20分、京都からでも50分ほどです。なので、大阪や京都から見ても、関空よりは近い場所にあります。
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札幌・東京・那覇などの主要都市への利用はOK
就航都市は札幌・仙台・茨城・東京・長崎・鹿児島・那覇の7か所です。東京行きしかない地方空港も多い中、神戸空港には主要な都市へとネットワークが広がっています。

また、茨城空港へもとんているため、茨城・栃木・群馬といった北関東への移動にも便利です。
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かつてはスカイマークが米子にも飛ばしていましたので、今後、地方空港への路線が増えることに期待したいところです。

コンパクトで移動が楽
神戸空港のいいところは、小さいことです。小さいというと、ショボいイメージになってしまいますが、とても移動が楽な空港です。

ポートライナーの改札を出てから空港まで、徒歩30秒ほどです。写真を見ると、改札から空港までが近いことが良くわかります。
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そして、空港に入るとすぐにエアラインのカウンターがあります。チェックインの必要がない人は、そのまますぐに保安検査に進むこともできます。
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搭乗までに階段での移動がないので、荷物を抱えた移動が非常に楽です。動線が簡潔なのは、神戸空港のありがたい特徴です。

ラウンジは「神戸」を利用可能
空港に余裕をもって到着し、時間を持て余したときはカードラウンジ「神戸」を使うことができます。ソフトドリンクとおつまみが提供される程度の、いたって普通のラウンジです。

基本的にはゴールドカードの保有者が対象ですが、一般客でも1,030円で利用できます。
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スカイマークが安い
神戸空港のもう一つの特徴は、スカイマークが就航しているため料金が安いということです。各都市に向けて6,000円~チケットを販売しており、LCCに近い価格で飛行機に乗ることができます。

伊丹からだとANAやJALは運賃が高いですし、PeachやJetstarを使える関空はアクセスに時間がかかります。その点、神戸空港はアクセス・運賃の両面で優れているといえます。

神戸空港が選択肢に入っていない人も多いかと思いますが、次の旅行では神戸からの出発を検討してみてはいかがでしょうか?



連絡橋の復旧まで、代行バスで対応できるのか?
台風21号により関空は浸水被害を受けたが、一部報道によると空港自体は1週間ほどで復旧が可能であるという。ところが、より大きな問題は空港アクセスの方である。連絡橋にタンカーが衝突したため、現在は道路・鉄道ともに通行止めである。
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写真(FNN.jpプライムオンラインより)を見ると、左側の道路は損傷を受けていないように見える。実際、緊急車両や空港関係者の輸送車両は、対面通行で走行している。

今後、空港が復旧した際に、代行バスで旅客や空港関係者を輸送できるだろうか?これを、以下の条件の下でシミュレーションしてみる。

・渋滞回避のため、一般車両は通行禁止
・りんくうタウン駅からアクセスバスを運行
・各地からのリムジンバスは通常運行




ピーク時は30秒ごとの運行
新関空株式会社が関空を運営していた当時は、連絡橋の利用状況を公表していたので、そのデータを使用する。2015年(暦年)の関西空港駅の利用者は19,141,405人、自動車の通行台数は7,832,866台であった。1日当たりに換算すると、52,442人と21,460台である。

空港の利用者数の伸びに合わせて、現在では交通量が30%増えているものとする。また、自動車は1台当たり2人が乗車していると仮定する。そうすると、代行輸送しなければならない人員は1日あたり12万4000人である。バスの輸送力を1台当たり50人とすると2480台となる。これは往復の人数なので、片道換算すると1240台を運行する必要がある。

時間帯によって需要の差はあるが、ピークの1時間に全需要の10%が集中するとすれば、その1時間には124台が必要ということになる。おおよそ、30秒に1台ということである。

バスの確保も可能
次に、りんくうタウン駅から空港までの所要時間を計算する。Google Mapによると、渋滞がなければ7-10分程度である。乗降に時間がかかるとして、往復するのに30分かかるとしよう。このとき、1時間に124台を運行するためにはバスが62台必要になる。
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路線バス・観光バスを問わずに関西中からかき集めれば、集まらない台数ではないだろう。したがって、車両面ではバスで十分に代行可能であると考えられる。

連絡橋のキャパシティも問題なし
最後に、連絡橋の道路容量を確認しておきたい。もともと3車線での部分を対面通行にするのであれば、片側1車線になる。連絡橋とそのアプローチに信号はないので、車両をスムーズに流せば2秒に1台は走行可能である。1時間に換算すると1800台である。

代行バスはピーク時でも124台であるから、リムジンバスや空港関係車両を通したとしても、十分対応可能である。

まとめ
以上をまとめると、
・代行バスはピーク時は30秒ごとの運行
・バスは全部で62台必要だが、関西一円からなら集められるだろう
・連絡橋は対面通行であっても、容量は足りる
となる。したがって、空港機能が回復すれば、関空はアクセス面でも運用可能になると考えられる。



発着回数・旅客数ともに前年と同水準
7月分の関空の利用状況が発表されました。全体の発着回数は前年同期比でプラス1%、旅客数は横ばいでした。

6月18日の大阪北部地震と7月6~8日の西日本豪雨の影響が出たものと考えられます。6月は旅客が8%の伸びでしたから、災害を受けて急減速してしまいました。
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国際線は搭乗率が悪化
国際線についてみると、発着回数はプラス5%であるのに対し、旅客数はプラス3%でした。このところは旅客数のほうが伸びが大きかったので、1便当たりの利用者が増えていました。つまり、機材の大型化や搭乗率の向上があったわけです。

それが、7月は旅客の方が伸びが小さいので、予約の入りが悪かったということが分かります。内訳を見ても、日本人はプラス9%と堅調であったにもかかわらず、外国人がプラス1%にまで落ち込んでいます。

やはり、危険だということで日本旅行を取りやめた外国人が一定程度いたものと思われます。とはいえ、かろうじてプラスは維持しているので、8月以降の戻りに期待したいところです。

国内線は減便と運休の影響
国内線は発着回数・旅客数がともにマイナス9%と減ってしまいました。前年と比べて、バニラが函館便を運休するなど、LCCの減便・運休の影響が出ているものと思われます。

また、災害による運休もマイナスに働いています。発着枠がフルに使われている伊丹でも発着回数がマイナス2%でしたので、関空も同程度は運休があったものと考えられます。

冬ダイヤではANAが宮古線や札幌線で減便する一方、ジェットスターが熊本線を復活させるなど増便を計画しています。国内線を成長させるには、LCCターミナルの拡張など、Peach以外も運航しやすくなるように投資をしていく必要があると思います。




2019年4月 「福岡エアポート」始動
新滑走路と並んで、福岡空港の将来に大きな影響を与えるのがコンセッション方式による民営化です。国土交通省が主催するコンペに勝ち抜いたのは、「福岡エアポート」で、2019年4月から空港の運営を担います。




落札金額は4460億円と、予定の3倍!
そもそも福岡空港を民営化するきっかけとなったのは、前回の記事で書いた新滑走路の建設です。建設費は1643億円を見込んでおり、その財源を確保するために、民間企業に運営権を売却することになりました。

運営期間は2048年度までの30年間という条件でコンペを行ったところ、全部で5つの企業連合が応募しました。もちろん入札金額は重要ですが、それ以外にも空港活性化・地域貢献・安全性といった要素も考慮しながら、最も優れた企業を選抜します。

見事選抜されたのが、西日本鉄道やJR九州といった地場企業が主導する「福岡エアポート」です。入札金額は4460億円と、最低価格の3倍近くの金額になりました。

外見も、内装も、一流空港並みに
それでは、福岡エアポートの提案内容を見ていきましょう。なお、ここからの図表はすべて、2018年7月18日に国土交通省が公表した、「福岡空港特定運営事業等の優先交渉権者選定に係る客観的評価結果等の公表について」から引用しています。

ターミナルは老朽化が進んでいますが、イメージ図のように建て替えるようです。LCC棟やエアポートホテルも描かれています。
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ターミナルの内部も商業施設を充実させるようです。免税品販売などの「非航空系」からの収益を増やすことも念頭に置かれています。また、国内線側には複合商業施設を建設し、「買い物だけ」の客も呼び込みます。
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国内・国際ともに路線を拡大
路線については、現状の全44路線を100路線に拡大することを目指します。特に、非アジアへの新路線に注力し、現在の3路線から16路線へと5倍以上に増やすようです。
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非アジアはグアム・ホノルル・ヘルシンキしかありませんので、ヨーロッパやオセアニアへの路線を誘致していくのでしょうか。

これらのネットワーク拡大により、旅客数は3500万人へと増やす目標です。2017年度が2400万人ですので、およそ40%の成長です。

集客エリアはももっと広く、広島まで
このようなネットワーク拡大や旅客数の増加には、福岡へのインバウンド(他地域・外国からの訪問客)のみならず、アウトバウンドの取り込みも欠かせません。

その一環として、高速バスによるアクセス強化も計画されています。現在は、福岡県内のほか、大分・佐賀・長崎・熊本への路線がありますが、これをさらに、九州南部(宮崎・鹿児島)や山口・広島にまで拡大します。
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今は「九州北部の基幹空港」という位置づけの福岡空港ですが、将来的には九州全域+中国地方西部を集客域とする「広域基幹空港」へと成長することでしょう。





2024年、待望の新滑走路オープン

前回から引き続き、インバウンドで活況を呈する福岡空港の動向を探っていきます。今回は、2024年度に開業予定の新滑走路でどのように発展していくのか予想します。




新滑走路はやや距離が短いのがネック
福岡空港では2024年度の完成に向けて、新滑走路の建設工事が進められています。現在の滑走路の隣に、作られています。
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新滑走路は長さ2,500メートルですので、中型機までなら問題なく発着できます。大型機(B777など)は国内線であれば大丈夫かと思いますが、燃料を積み込む長距離線には使えなさそうです。

今のところ、福岡空港からの長距離便は中型機(A330)によるヘルシンキ線のみなので問題はありませんが、九州の基幹空港として発展していくならば、将来的にはネックになるかもしれません。

新滑走路の活用には、飛行経路の見直しが不可欠
前回の記事で、福岡空港は容量オーバーであると書きましたが、新滑走路の開業後もこの状況はあまり緩和されそうにありません。安定的に発着できる回数は、現在の年16.5万回から18.8万回へと14%増えるのみです。

これは、滑走路同士が近い「クロースパラレル」なので同時利用ができないこと、そして、空港周辺の空域が狭いことが原因です。

これでは滑走路への投資効果が小さすぎるということで出てきたのが、上の案です。北風時に空港の手前で急旋回するのではなく、大きく回り込む経路です。
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福岡空港は市街地のど真ん中にあり、騒音が問題になっています。なので、これまでは極力陸上を飛ばないようにしていたのですが、新案では福岡県・佐賀県の上空をかなり飛ぶことになりそうです。

ただ、この飛行経路を採用すれば、発着回数は23.5万回にまで増やすことができます。成田空港が25万回・関西空港が18万回といったところなので、需要さえついてくれば、東京や大阪の主要空港に並び立つことができます。

就航都市はアジアが中心になると思いますが、オランダのアムステルダムへの就航実績もありますので、ヨーロッパへの長距離便も期待できます。アメリカ方面へは東京乗継でも距離的なロスはありませんので、就航の可能性は低いとみられます。(これは、関空やセントレアも同じで、ヨーロッパに比べてアメリカ路線は少ない)

とはいえ、アジアの成長を取り込みつつ路線を拡大していけば、新たな「西の拠点」としての存在感を発揮することができそうです。



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