よつき経済研究所

経済学者の森本裕です。専門は交通経済学と都市経済学です。神戸にある甲南大学で教員をしています。経済学のメインテーマである、価格=モノの値段についてコラムを書きます。また、大学教員ならではということで、今どきの学生気質や大学ついても不定期で発信します。

経済学に関心がある方は、ホームページ(https://yotsuki-compass.com/)にもお越しください。ツイッター(https://twitter.com/yotsuki_compass)でも最新ニュースに経済分析を加えています。

空港

民営化を迎えた福岡空港
本州の西端にあるという地の利を生かして、成長著しいアジアからの恩恵を受けている福岡ですが、そのゲートウェイである福岡空港の現状と将来像について、3回に分けて考察していきます。

まず第1回は、福岡空港の概要と、近年の成長の軌跡について説明します。第2回は2024年度に開業予定の新滑走路の効果を見ます。そして、第3回は民営化後に経営を担う「福岡エアポートホールディングス」の事業計画を概観しながら、将来を見通していきます。




便利だが小規模な都市型空港
陸軍の空港として1944年に建設されたのが、福岡空港のはじまりです。敗戦によってアメリカに接収されましたが、1972年に返還され、現在に至ります。

滑走路は2,800メートルが1本のみで、複数本体制になっている他の主要空港と比較すると、小規模な空港といえます。博多駅から地下鉄で2駅5分と都心部から至近で、非常に利便性が高いのが特徴です。
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とはいえ、この利便性と引き換えに、福岡市には厳しい航空規制が課せられ、博多駅周辺ではビルの高さは54.1メートルに制限されています。また、用地の不足から空港の拡張も困難で、近年の需要増を取りこぼす原因にもなっています。

旅客は伸びるも、発着回数は上限に達する
発着回数は2013年に17万回に到達してから、足踏みを続けています。1本の滑走路では年間16.5万回程度が上限であり、新たな就航希望を断らざるを得ない状況です。
発着数
2018年7月にも、スターフライヤーが就航を予定していた台北線を無期限延期したというニュースがありました。

発着回数は上限に達したものの、旅客数は今のところ伸び続けています。機材の大型化と搭乗率の向上により、当面は成長を続けられそうです。
旅客数(福岡)
とはいえ、近年はB737やA320といった小型機が主流になっているので、1便あたりの旅客数が150人まで増えても、旅客数は2600万人程度が限界となりそうです。

2025年に第2滑走路が完成予定
成長の限界に対応するため、第2滑走路の建設が決定されました。2000億円にものぼる建設費を賄うため、運営権を売却することになり、2019年からは、西日本鉄道や九州電力などが設立した「福岡エアポートホールディングス」が経営を担うこととなりました。

次回は、先日「福岡エアポートホールディングス」をもとにして、福岡空港の将来像について検討していきます。




現金収支は914億円 純利益は283億円


2018年6月7日に、関西エアポートが2017年度の決算を発表しました。売上高は2064億円(前期比+15%)、営業利益は529億円(同+40%)、純利益は283億円(同+67%)でした。現金収支は償却前キャッシュフローで914億円(同19%)です。
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決算資料は全て、関西エアポートの決算説明資料より



旅客増で利益も増
増収増益の要因は、まずなによりも、発着回数と旅客数の増加です。関空の旅客数は2ケタの増加ですし、発着枠の規制がある伊丹でも4%増えています。
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空港の売り上げは航空系(着陸料や施設利用料)が約半分なので、旅客の増加は直接的に経営に貢献します。非航空系(物販や飲食)も大切ですが、空港の利用者が主なお客さんなので、やはり、旅客を増えると利益を押し上げます。

伸び続けるアジア、グアムはマイナス
さて、その増えている旅客はどこから来ているのでしょうか?houmen
方面別で見ると、伸びているのは韓国(前年比+27%)、香港・マカオ(同+23%)です。オセアニアや北米といった関西エアポートが重視している遠距離も伸びています。逆に減っているのはグアム・サイパン(同-25%)で、北朝鮮のミサイル問題が影響しています。

日本人の出国については、「インバウンドの陰に隠れる、日本人の出国動向は?」で説明していますので、ご覧ください。

エアライン・路線ともに順調に拡大
新規の路線と航空会社も増えています。まず国内では、Peachが新潟へ飛ばしはじめ、8月からは釧路便もスタートします。Vanillaも奄美大島と函館に新路線を開設しました。

国際線はJetstar Asiaがダナンとクラークへ就航しました。マニラが混雑のため、近隣のクラークが選ばれたようです。ダナンはベトナム中部のリゾート地で、日本人を主要顧客としているようです。shinki
貨物便もアゼルバイジャンのバクーへ新路線が始まります。旅客便では考えられない路線ですが、貨物ならではといったところです。エアラインはシルクウェイ航空で関空にとってはニューフェイスです。

新しいエアラインが続々と入ってきていますので、航空写真家にとってもますます撮影が楽しくなりそうです。



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